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虫を彫る仏師 第5話 虫たちの変化(へんげ)

虫を慈しむ造型家

仏師「杜虫然」が創りだす虫たち

 下の一枚は、二匹のコノハムシ。顔はキリギリスだが、誰が何といおうともコノハムシである。羽の部分が木の葉になっているのは変化へんげを表したもの。キリギリスではなくコノハムシという名前がつけられているのは、昆虫が自然と一体化している様子を表現したため。虫や昆虫などの小さな生物は、自然と一体化することで身を隠して生活している。生きるために変化へんげすることが必要なのだ。以前、紹介したコノハムシ(ナナフシ科)とカレハカマキリは、その変化をストレートに表現している虫たち。どちらの変化が勝っているのか競っている様子を表現している。虫たちが生き残るための最大の武器は変化、つまり擬態であることから、究極の形状を持った二種にとっては頂上決戦である。無表情な昆虫なのでユーモラスな造形ではあるが、その意味合いは充分に感じ取れる。


 また、キリギリス風コノハムシだが、二匹の色が異なるのも実は意味がある。樹上にいる茶色いのはオスのコノハムシ。隠れるように下にいる緑色がメスのコノハムシである。オスは茶色く枯れても頑張っており、守られているメスは、そのため、いつまでも青々と若々しく元気でいられるという意味がある。本来の夫婦の姿をこの作品で表しているのだが、それは地球上全ての生物に当てはまる。今の世の人間たちは逆なのかもしれないが、そのことも虫然氏は嘆いていたらしい。

杜虫然氏のホームページ

仏師 杜虫然氏のホームページ

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