タマムシ八角堂
タマムシを使った建造物と云うと法隆寺の「玉虫厨子」が有名だ。やはり、飛鳥時代からタマムシの羽(鞘)は美しいものとして人々に重宝された。
ここ秩父吉田玉虫の会でも、そのシンボルとして「玉虫八角堂」が製作された。秩父吉田がいつまでもタマムシの住める自然環境であることを願って、現在は吉田元気村に飾られている。玉虫700匹で屋根ができているのだが、すべて飼育したタマムシが亡くなった後の鞘だけを使っている。捕獲して直ぐに殺生をするのではなく、やがて寿命を迎えて息絶えた固体だけを使用するという徹底振りは賞賛に値する。標本を否定する気は毛頭ないが、タマムシへの愛情が垣間見れるエピソードでもある。

もちろん本体は桐で造られている。やはりタマムシといったら桐だ。蛇足ではあるが、この地方で映画の撮影があったとき、民宿に宿泊した俳優やスタッフに対して、オーナーは記念として桐箱入りのタマムシをプレゼントした。虫嫌いは多いかもしれないが、タマムシを嫌いな人は少なかったらしい。もちろん成虫限定だが。
住みやすい自然環境を未来も守っていくためのシンボルとして製作したのが「玉虫八角堂」。六角ダムの麓にある「吉田元気村」内に展示されている。近くの売店でタマムシの鞘が入ったお守りを購入可能。


なぜ桐なのか
生まれたときに植えた苗が、お嫁に行くときに箪笥を作ることなどできるのだろうか。素朴な疑問ではあるが、それを可能にするのは桐という樹木の成長力だ。とにかく桐の成長は早い。15~20年で箪笥が作れるまでに成長するのだ。 杉は80年が必要なのを考えれば、桐は1/4の期間で加工可能な大きさになる。さらに防虫効果があり、軽量と文句の付け所がない。それなのに高価なのは、あまり植樹がされていないからだ。それは、ひとえに軽さゆえの弱さからだ。強度がなく、傷つきやすいため、保存・管理が大変なのである。





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