かつての映画少年 在りし日の二本立てロードショー

路地裏の映画少年
二番館ではない、同時上映の新作映画

 かつて、というか、かなり昔の地方では二本立て上映が多かった。その組み合わせは一体、誰が決めているんだ、と指摘したくなるものもあった。初めてロードショーの洋画を鑑賞したのは、当時の「ブルース・リー」のカンフーブームに惹かれて『ドラゴン危機一髪』だった。その時の同時上映が『パピヨン』。言わずと知れたスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンの初共演で、監督は名匠「フランクリン・J・シャフナー」なのだが、当時のロードショーでの主役は『ドラゴン危機一髪』で、小学生の自分も目当ては「ブルース・リー」だった。スティーブ・マックイーンの名前は知っていたが、他はまったく知らないまま(ダスティン・ホフマンも知らなかった)、ただ一本だけではもったいないという理由で、『パピヨン』も鑑賞した。しかし、あの長い映画(小学生に150分は長すぎる)を飽きることなく完走できたのは、映画好きになる素養があったのかもしれないが、映画の持つポテンシャルが高かったためだろう。

 その後も、しばらくは映画館でのロードショーと言えば、二本立て。『コンドル』と『フリック・ストーリー』、『スクワーム』と『怪奇!吸血人間スネーク』もなかなか凄い。ほかにも『激走!5000キロ』と『ダーティーハリー3』、『ミッドナイト・エクスプレス』と『アイズ』、『オルカ』と『カプリコン1』、さらに『クレイマークレイマー』と『チャイナシンドローム』などなど 。邦画も『太陽を盗んだ男』と『もう頰づえはつかない』が同時上映だった。思い出すだけで結構挙がるが、忘れてる作品が多いのだろう。昔はチラシをとっていたのだが、これもどこへ行ったのか。また、『サブウェイ・パニック』と『ゴールド』を二本立てで観たのだが、他の地域では『サブウェイ・パニック』と『ジャガーノート』のようだった。できたら『ジャガーノート』を観たかった。二本立ての組み合わせは地方、もしくは映画館によって異なっていたようだ。絶妙なのもあれば、「あれ?」と疑問を抱くものもあるので、誰が組合せを決めていたのか興味は尽きない。


 しかし当時でも大作スペクタルものは一本立てだった。『タワーリング・インフェルノ』や『ジョーズ』は一本だった。割高感はあるのだが、その時はもう納得していたのか、腹立ちはしなかった。ただ、その頃は入替え制ではなかったので、『ジョーズ』に関しては、3回続けて観たのだから、割高感などないのは当然なのだが。
 そして、何と言っても飛びぬけた組み合わせだったのが、『007黄金銃を持つ男』と『エマニエル夫人』だろう。あれは、何歳から観れたのだろうか。

 いま考えれば、ロードショーの二本立てはかなりの割得なのだが、当時は当たり前だったので、そんな感覚はなかった。それが、いつの間にかロードショーは一本が当たり前になっていたのだが、それはいつ頃からなのだろうか。上京した時には東京のロードショーに二本立てなどは、角川映画もしくは子供向けの映画特集ぐらいで、ほぼ存在していなかった気がする。高田馬場で『トワイライト・ゾーン』と『ブレードランナー』を観たが、あれは名画座寄りで、ロードショーの二本立てではなかったはず。ロードショーの複数上映は地方特有の興行だったのだろうか。『パピヨン』のような思いもよらぬ名作と出会うことがなくなったのは淋しい限りだ。ただ東京には名画座が多く、三本、四本が当たり前で、貧乏な学生にはありがたかった。

 最近、同時上映が思い出せないので、webで検索していると、同じ主演俳優や監督の過去の作品が併映として紹介されているが、それは同時上映ではない。いわゆる二番館。上述した高田馬場の映画館も二番館だろう。これは結構多い。やはり地方のロードショー二本立て上映館は懐が広いというか、奥深い興行だ。

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