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いつかの映画少年 極私的映画感  vol.1 『灰とダイヤモンド』

路地裏の映画少年
灰とダイヤモンド アンジェイ・ワイダ(1958)

 もちろんロードショーで鑑賞したわけではなく、名画座での初見だった。今はないと思われるが、江古田の古い名画座で、ポーランド映画特集として4本の上映だった。ポランスキの『水の中のナイフ』カヴァレロヴィチの『夜行列車』そしてアンジェイ・ワイダの『地下水道』と『灰とダイヤモンド』
 この中で特に気になっていたのが『灰とダイヤモンド』。タイトルの格好良さもあったが、「エンドマークの向こうにロマンが見える」という映画書籍で4番目に取り上げられており、ラストシーンを見たいという願望があったからだ。しかし、数々の名画のラストシーンを解説している本なのだから、映画鑑賞前に読むというのは、映画ファンとしてはNGなのだが、当時は何も考えずに、全紹介映画を読破していた。ラストシーンが印象的なのはヌーベルバーグとアメリカン・ニューシネマの作品が多かったものの、この『灰とダイヤモンド』はまったく別ジャンルだったのも興味を持った理由ではある。


 そんな期待を持ち、ラストシーンを頭に浮かべて名画座の特集に臨んだのだが、やはり4本は想像以上に体力を消耗した。4本立ては初めてだったこともあり、申し訳ないが『地下水道』は眠ってしまった。『水の中のナイフ』も睡魔との闘いで、ほとんど内容が入ってこなかった。今ならば、眠る作品に見当をつけて、体力の配分を考えて挑むが、当時は若さ故、すべて観れるものと思っていた。これも名画座あるあるだけれど。
 さて映画の中身だが、とにかくワイダの作品のほとんどは社会性の高い映画で、反共産主義が根底にある。この作品も、反共産の映画である。まだ社会主義であるポーランドでよく撮ったものだ。ただ『抵抗三部作』をはじめ、『大理石の男』『鉄の男』などの傑作は、反共産というより、反ソ連映画。そのこともあり、祖国を追われ、国外での映画撮影になったのは当然といえば当然の結果ではあるが、ポーランドの体勢が崩れ、意外と早く復帰。まあ『鉄の男』には予兆があったのだけれど。その後、『カティンの森』『ワレサ 連帯の男』など反共産主義を強調したような作品も作られた。アンジェイ・ワイダを知るには、以前NHKのEテレで放送したドキュメント「わがポーランド – ワイダ監督激動の祖国を撮る」を観るとよいが、配信があるのかは不明(※書籍は出版されているので興味のある方は購入してください)。確か、『カティンの森』の制作時に撮ったもの。巨匠の歴史と苦悩が端的にわかるので、一度は見てほしい。このドキュメントでワイダがコメントしていたが、『灰とダイヤモンド』で一番、印象に残ったのはラストシーンではなく、暗殺シーン。そういう理由があったのか、と思わず見返した。ワイダは美術学校で絵画を習ったこともあり、とにかく構図が美しい。その代表的なシーンが暗殺の場面だった。ポランスキとカヴァレロビッチもワイダと同じクラクフ美術アカデミー(現ヤン・マテイコ美術アカデミー)で学んだ。卒業したかは不明だが、ワイダは中退して、ウッチ映画大学に進学した。そのウッチ映画大学はワイダを筆頭にアンジェイ・ムンク、ロマン・ポランスキ、クシシュトフ・キェシロフスキと、錚々たる卒業生がいる。日本だったら日本大学芸術学部のようなものかもしれない。

 また『カティンの森』は今はなき神保町の「岩波ホール」で鑑賞した。とにかくラストには凍り付いた。終了後にすぐに席から立ち上がれなかった、今のところ最後の作品。

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