メメント クリストファー・ノーラン(2000)
クリストファー・ノーランは現在のハリウッドで大作を撮らせたら、最高峰と言い切れる監督である。それに異存はないと思われるが、なぜに『メメント』なのか。普通に考えたら『ダークナイト』や『オッペンハイマー』ではないのか、と意見が割れそうだが、わたし個人にとっては、この『メメント』が映像作家であるノーランのナンバーワン映画なのです。
この映画だけは、映画館のロードショーで観るのではなく、Blu-rayやDVDのメディアを購入して鑑賞することをお勧めする。一度だけ観ても、その構成力の凄さはわかるのだが、本質まで理解することは通常の人間ではなかなかできるものではない。かと言って、演出家本位の難解な映画というわけではない。一度でわかるのだが、二度目、三度目を観ることで、その面白さ、深みが伝わってくる。ノーランには、こんな観念的な刺激を受ける映画もあるが、やはり醍醐味はエンタメとしての魅力である。特に『オッペンハイマー』。得てして凡庸になりがちな題材だが、見事にエンタメ作品としても昇華していた。ノーマンの才能を改めて感じた。しかし『オッペンハイマー』でも『ダークナイト』でもなく、何度も繰り返して申し訳ないが、個人的には『メメント』なのだ。
初めて鑑賞したのは、映画館で『ダークナイト』を鑑賞した後である。つまり、公開からすでに10年近く過ぎていた。クリストファー・ノーランの名声は日本でも知れ渡っており、ハリウッドの巨匠としての地位は確立されていた。それでも当時は、映画自体への興味が薄れかけていた時だったので、『ダークナイト』も割引券をもらったので、映画館へ足を運んだのであった。しかし、受けた興奮は生易しいものではなかった。また機会があればお話しするが、映画というもの、それもスクリーンでの映画鑑賞を回帰させるには十分だった。『ダークナイト』撮影時に37歳。監督としては若く、ここまでのエンタメ大作を作り上げる技量に、俄然、興味を抱かせた。もちろん『バットマンビギンズ』の存在は知っていたし、「ティム・バートン」のバットマンシリーズもそれなりに観てきた。若い監督に代わって、新しい「バットマン」が始まった程度の認識だった。元々、「ティム・バートン」のバットマンシリーズも1作目以外はあまり好みではなかった。それでも『ダークナイト』を映画館へ観に行ったのは、もちろん半額割引の券があったからだった。

『メメント』の主人公は10分しか記憶を保てない記憶障害で、記憶をポラロイド写真で残すという作業を繰り返す。その上、映画は時間を遡るという構成だ。この難解になるべき映画をエンタメに昇華させたのは監督であるクリストファー・ノーランの技量だ。他にも『インセプション』や『TENET テネット』も時空の歪みを活かした作品だが、やはりノーランは作品として昇華していた。そんな才能を直ぐに認めて、次の映画を用意したハリウッドの先見の明もすごい。ノーランの制作したバットマンシリーズは今までにない、バットマン像とゴッサムシティの重厚な景色を生み出した。どれもエンターテインメントを欠かすことなく、壮大で崇高な映画にしていたのはノーランの実力なのだろう。『オッペンハイマー』でオスカーを手にしたノーランの今後の作品も期待しかない。












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